日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹壁瘢痕ヘルニア修復に用いたコンポジットメッシュによる盲腸穿通の1例
渡辺 俊之寺井 恵美原田 真悠水柿原 知中山 洋佐々木 愼
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2014 年 75 巻 3 号 p. 721-725

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抄録

症例は73歳,男性.67歳時,メッシュを用いた腹壁瘢痕ヘルニア修復術を他施設で施行された.その6年8カ月後,便秘のため息んだ後から腹痛が出現し,軽快しないため2日後に来院した.腹部CTで腹壁に不規則に変形したメッシュとガス像が認められ,消化管穿通によるメッシュ感染と診断して緊急手術を施行した.使用されていたメッシュは腹腔内に留置が可能なコンポジットメッシュで,メッシュ辺縁の腹腔側への折れ曲がりが認められた.メッシュと癒着した盲腸に穿通を認め,メッシュを除去して穿通部の縫合閉鎖を施行した.近年,腹壁瘢痕ヘルニアに対する手術では,コンポジットメッシュを用いた修復術が広く行われるようになっている.ポリプロピレンメッシュの層が腹腔側に露出した場合,消化管と強く癒着して腸閉塞や腸瘻形成などの合併症が起こる危険性があり,メッシュの腹壁への固定には十分な注意が必要と思われる.

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© 2014 日本臨床外科学会
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