2014 年 75 巻 3 号 p. 764-768
症例は40歳,男性.2012年3月に急性胆嚢炎に対して,緊急で腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.肝S4に55mm大の肝外発育性肝血管腫を認めたが,胆嚢摘出術を先行し,術後一旦外来フォローとした.2012年5月に肝外発育性肝血管腫に対して,同じ手術創を使用し,腹腔鏡下肝切除術を施行した.切除標本は55mm大の赤褐色の腫瘤であった.出血量20ml,手術時間141分で,第5病日に軽快退院した.病理診断は肝海綿状血管腫であった.
肝外発育性肝血管腫は,腫瘍破裂のリスクが存在するために相対的な手術適応とされている1).腹腔鏡下手術は,本邦では12例のみ報告がなされているが,本術式は低侵襲であり,肝外発育性肝血管腫のような良性疾患に対しては,非常に有用であると考えられた.