日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後早期に発症した腸間膜脂肪織炎の2例
秋森 豊一上岡 教人上村 直金川 俊哉沖 豊和
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2014 年 75 巻 4 号 p. 1098-1103

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抄録

症例1は64歳,男性.小腸部分切除術を施行後,腸閉塞症をきたし再手術を行った.吻合部を中心に腸間膜が肥厚,一塊となっており,腸間膜脂肪織炎との診断の下に小腸部分切除術を施行した.術後再び,手術操作部に腸閉塞症をきたしたため,腸間膜脂肪織炎の再発と考え,ステロイド治療を行った.プレドニンを50mg/日より開始し,漸減していった.13日目にイレウス管を抜去,以後順調に経過した.症例2は57歳,男性.右半結腸切除術を施行後,手術操作部位に腸閉塞症状が出現した.CT所見より腸間膜脂肪織炎による腸閉塞症と診断し,プレドニンを開始,以後著明に改善した.以上より,腹部術後早期の腸閉塞症は腸間膜脂肪織炎である可能性にも留意し,CT検査を行った上で本症を疑う所見があれば,ステロイド投与など保存的治療を優先すべきと考えられた.術後早期に発症した腸間膜脂肪織炎の報告例は比較的まれであり,文献的考察を加え報告をする.

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