2014 年 75 巻 4 号 p. 922-927
症例は67歳,男性.42歳時にIV期肺癌と診断され,化学放射線治療を受け,49歳時に左上葉切除を受けた.今回,息切れを主訴に当院を受診した.慢性閉塞性肺疾患による呼吸不全と診断した.この時のCTで左腋窩に4×3cm大の不整形腫瘤あり.FDG-PETでは同部に強い集積を認めた.生検でリンパ節への癌転移と診断され,既往の肺癌と同一組織像であり肺癌の左腋窩リンパ節転移と診断し,cisplatin+pemetrexed sodium hydrateによる化学療法を6course施行した.化学療法で腫瘤は軽度縮小し,PETでは集積を認めなくなった.画像上,他に再発を疑う病巣を認めないことから腫瘤摘出を施行した.切除標本に腫瘍細胞の残存を認めなかった.術後補助療法を行わずに経過観察した.再発の兆候はなかったが,基礎疾患の慢性呼吸不全が進行して肺性心をきたし,左腋窩転移リンパ節摘出後約2年で永眠された.