日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
術後2年間無再発の原発不明肺門リンパ節未分化癌の1例
小柳津 毅井上 尚荒木 修千田 雅之
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 75 巻 5 号 p. 1218-1222

詳細
抄録

症例は,64歳男性.咳嗽を主訴として当院に紹介された.胸部X線写真で右肺門陰影の拡大があり,胸部CTで右肺門部に長径2.7cmの境界明瞭な腫瘤病変を認めた.気管支鏡検査で可視範囲に異常所見を認めず,右肺上葉分岐部の超音波気管支鏡ガイド下針生検で大細胞癌または腺癌と診断された.FDG-PETでは右肺門部にのみ集積を認める他に異常集積はなく,原発性肺癌(cT0N1M0),または,原発不明癌肺門リンパ節転移の診断で手術となった.腫瘍は,右肺上下葉間に,臓側胸膜に覆われた表面平滑な白色の腫瘤として存在し,右肺上葉管状切除および肺動脈形成と縦隔リンパ節郭清を行った.組織所見と免疫染色の結果から,原発不明肺門リンパ節未分化癌と診断された.郭清された他のリンパ節に転移を認めなかった.術後補助化学療法を行った後,2年間原発癌を疑わせる病変は出現せず,また再発所見もなく経過している.

著者関連情報
© 2014 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top