日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前に診断し腹腔鏡下に切除した虫垂管状腺腫の1例
中本 健太郎金 友英荻澤 佳奈櫻井 康弘西森 武雄
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2014 年 75 巻 5 号 p. 1335-1340

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抄録

虫垂原発の良性腺腫は非常にまれな疾患であり,術前に診断可能であった報告は少ない.今回,われわれは大腸内視鏡検査・生検にて術前診断可能であった虫垂管状腺腫の1例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.症例は61歳,男性.当院消化器内科にて大腸ポリープ切除後のフォローアップのため定期的に大腸内視鏡検査を受けていた.今回,大腸内視鏡検査にて虫垂に隆起性病変を認め,生検を行ったところ管状腺腫と診断されたため,当科で腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.虫垂内に7×5mm大の亜有茎性腫瘍を認め,病理組織学的検査にて虫垂管状腺腫と診断された.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.近年は虫垂切除術における腹腔鏡下手術の報告例が増加しており,虫垂原発の良性腺腫はまれな疾患であるが,術前に診断可能な症例においては腹腔鏡下手術の良い適応になると考えられる.

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