日本臨床外科学会雑誌
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症例
脳転移で発見された長期生存中の横行結腸癌の1例
西村 充孝赤本 伸太郎山本 尚樹藤原 理朗岡野 圭一鈴木 康之
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2014 年 75 巻 5 号 p. 1355-1359

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抄録

患者は56歳,男性.左上下肢の筋力低下を自覚し近医受診.右側頭葉に腫瘍を指摘され当院脳外科に入院となった.入院後,症状が増悪し緊急開頭腫瘍摘出術が施行された.腫瘍は全摘出され,病理診断で転移性脳腫瘍と診断された.原発巣を検索すると,横行結腸癌が確認され,PETで胸腰椎転移も疑われたためIRIS療法を開始した.しかし,患者自己判断により5カ月で中止された.1年6カ月後,原発巣増大による消化管狭窄症状を認め,腹腔鏡補助下結腸部分切除術を施行した.病理結果は,低分化型腺癌,SI(大網),ly1,v2,N0の所見であった.術後化学療法はS-1内服以外の同意が得られず,S-1内服を1年間継続した.以後,初診から7年2カ月を経た現在も無再発生存中である.大腸癌の脳転移は肝・肺など他臓器転移を合併していることが多く予後は不良である.今回,脳転移で発見され長期生存中の横行結腸癌の1例を経験したので報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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