日本臨床外科学会雑誌
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症例
右乳癌と同時切除した左肺底区動脈大動脈起始症の1例
戸田 道仁岩田 隆花田 庄司柄川 千代美沖代 格次三浦 拓也
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2014 年 75 巻 6 号 p. 1516-1522

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抄録

46歳,女性.右乳癌術前精査の胸部CTにて左肺門部に腫瘤像を認め当科紹介.血管造影検査で左肺底区域動脈枝の欠損と下行大動脈から左肺底区域へ流入する異常血管を認め,気管支鏡検査では気道系に異常はなく左肺底区動脈大動脈起始症と診断した.肺循環系の異常はあるものの,全身状態は良好であるため右乳癌および左肺底区動脈大動脈起始症の同時手術を施行した.まず,仰臥位にて右乳腺部分切除術を先行し,右側臥位とし胸腔鏡下に手術を行った.左S6を除く左肺下葉底区域の臓側胸膜に血管拡張を認めた.下肺靱帯内の大動脈から肺内へ流入する血管を自動吻合器にて切離した後,左肺下葉を摘出した.切除標本にて異常血管は左肺底区に拡張蛇行しながら流入し内膜の拡張と中膜の肥厚像を呈していた.乳癌は非浸潤型管状腺癌p-TisN0M0で,第7病日に軽快退院,術後残存乳腺に対し50Gyの術後照射を追加し,術18カ月後の現在無再発経過中である.

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© 2014 日本臨床外科学会
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