日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆嚢転移を認めた胃印環細胞癌の1例
松本 亮一林田 良三田尻 健亮吉山 康一尾崎 邦博西村 寛
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キーワード: 胃癌, 印環細胞癌, 胆嚢転移
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2014 年 75 巻 6 号 p. 1568-1572

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抄録

症例は68歳,女性.噴門部胃癌の診断にて胃全摘術を行った.術後病理診断はT4a,sci,ly3,v1,pPM1,pDM0,N2,M0,pStage IIIBであった.術後補助療法として,テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(以下TS-1)内服を開始したが高度の食欲不振を認めたため,服用後4カ月で内服中止した.以降は定期的な画像診断にて経過観察を行ったが,術後18カ月の腹部超音波検査にて胆嚢に不整な壁肥厚を認めた.胆嚢癌疑いにて胃全摘術から20カ月後に,胆嚢摘出術を行った.術中肉眼所見では胃癌の腹腔内再発は認めなかった.術後病理診断は胆嚢粘膜に病変を認めず,粘膜下層から筋層主体の印環細胞癌であり,胃の印環細胞癌と病理組織像は同一であった.以上より胃癌の胆嚢転移と診断した.今回われわれは,極めて稀な胃癌の胆嚢転移の1症例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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