日本臨床外科学会雑誌
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症例
AFP産生胃管癌の1例
澤田 尚人星野 敢藤城 健河野 世章阿久津 泰典松原 久裕
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2014 年 75 巻 6 号 p. 1573-1576

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抄録

症例は74歳,男性.51歳で食道癌に対し,他院で胸部食道亜全摘胸骨前胃管再建術を施行.術後23年後に腹部違和感を主訴に近医受診し,胃管癌の診断で当科紹介受診となる.内視鏡検査では胃管下部大弯側に1.5cmの不整隆起性病変を認め,sm浸潤が疑われた.CTで原発巣は不明瞭であり,転移所見を認めず.腫瘍に対して分節部分切除を施行した.病理結果では低分化型腺癌を主体とした腫瘍であり,胃管癌,type 0-I,SM2,ly2,v2,N0,stage IAの診断となった.退院後8カ月目のCT検査で多発肝転移が指摘された.AFPが1,798ng/mlと上昇を認めた.改めて原発巣の免疫組織学染色を行ったところ,AFP免疫染色にて管状腺癌成分にびまん性の強陽性を呈した.肝動注療法と全身化学療法にてPRとなり,AFPも157ng/mlと低下した.その後も全身化学療法を継続するが,術後2年3カ月で永眠となった.

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© 2014 日本臨床外科学会
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