日本臨床外科学会雑誌
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症例
大腿部ガス壊疽と診断された十二指腸憩室後腹膜穿孔の1例
金子 博和加藤 岳人鈴木 正臣柴田 佳久平松 和洋吉原 基
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2014 年 75 巻 6 号 p. 1588-1592

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抄録

症例は28歳,女性.右膝痛を主訴に当院を受診した.精査の結果,右膝から後腹膜に及ぶガス壊疽の診断で,デブリードマンと後腹膜ドレナージを施行した.術後7日目に後腹膜のドレーンより食物残渣が排出され,ドレーン造影で十二指腸が造影された.全身状態は比較的落ち着いていたので,まずは保存的にドレーン管理を行ったが,術後10日目より高熱が出現し後腹膜ドレーンより便汁様排液を認めたため,十二指腸液による上行結腸穿孔の疑いで緊急手術となった.十二指腸下行脚右側壁に憩室穿孔と思われる穴を認め,単純縫合と大網被覆を行った.上行結腸は外部からの炎症で色調が悪かったので右半結腸切除も併せて施行した.経過は概ね良好で術後27日目で右大腿部創処置とリハビリのため整形外科転科となった.十二指腸穿孔において大腿部ガス壊疽と初期診断されることは比較的まれであり若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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