日本臨床外科学会雑誌
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症例
急性骨髄性白血病の骨髄抑制期に発症した急性虫垂炎の1例
西尾 康平渋谷 雅常永原 央大谷 博前田 清平川 弘聖
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2014 年 75 巻 6 号 p. 1616-1620

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抄録

症例は46歳,男性.急性骨髄性白血病の診断の下,化学療法を施行.治療開始後3日目より右下腹部痛が出現し,4日目の精査で急性虫垂炎と診断した.白血球200/μl,好中球132/μlと低値であったが,右下腹部に限局する腹膜刺激症状を認め,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.術後白血球は100-200/μlと低値が続き,CRPは17-22mg/dlと炎症反応の上昇が遷延した.術後6日目に腹部CTを施行し,創部に蜂窩織炎を認めるものの明らかな膿瘍形成は認めないため,抗生剤による保存的治療を継続した.術後14日目頃より白血球の上昇とそれに伴ってCRPの低下および蜂窩織炎の改善を認め,術後28日目軽快退院となった.今回われわれは白血病患者の骨髄抑制期に発症した急性虫垂炎に手術を施行し,術後炎症所見が遷延したが骨髄機能の回復に伴い炎症反応の改善をみた1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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