日本臨床外科学会雑誌
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症例
遅発性乳糜腹水を契機に診断された膵癌術後腹腔内局所再発の1例
奈良 昌樹大石 晋室谷 隆裕野崎 剛吉原 秀一舘岡 博
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キーワード: 膵癌, 乳糜腹水, 再発
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2014 年 75 巻 6 号 p. 1674-1677

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抄録

膵癌術後7カ月目に遅発性乳糜腹水を契機に診断された腹腔内局所再発の症例を経験したので報告する.症例は73歳男性で腹痛の精査にて膵頭部癌と診断され,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行された.病理組織学的には低分化型腺癌,T3,N2,Stage IVaであった.術後S-1による補助化学療法を施行されていたが副作用のため4クールで終了.術後6カ月目のCTでは少量の腹水を認めるのみであった.術後7カ月目に腹部膨満が強くなり腹腔穿刺施行したところ,乳白色の腹水を認め乳糜腹水と診断.オクトレオチド300μg/日を開始したところ,3日後には腹水の減少,排液の中性脂肪値の低下を認めた.その後のCTで上腸間膜動脈周囲に再発所見を認めたためgemcitabineによる化学療法を開始した.乳糜腹水は術後早期の発症の報告が多いが,腹腔内局所再発などにより遅発性に発症する可能性が示唆された.

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© 2014 日本臨床外科学会
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