日本臨床外科学会雑誌
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症例
小腸間膜原発solitary fibrous tumorの1例
木内 純梅原 誠司中島 晋福田 賢一郎藤山 准真増山 守
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2014 年 75 巻 7 号 p. 1887-1892

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抄録

Solitary fibrous tumor(以下,SFT)は主に胸膜から発生する軟部腫瘍であり,胸膜外発生は稀とされる.今回われわれは小腸間膜原発SFTの1例を経験したので報告する.
症例は61歳女性.近医で腹部腫瘤を指摘され,精査・加療目的に当院紹介となった.腹部造影CT検査で骨盤内に分葉状で小さな嚢胞性変化を含む充実性腫瘤を認めた.MRIではT1で低信号,T2で淡い高信号で,腸間膜または小腸壁由来の間葉系腫瘍と診断し,手術による腫瘍摘出を施行した.
術中所見にて腫瘍は小腸間膜から発生しており,周囲臓器への明らかな浸潤は認めなかった.手術は,腫瘍部位を含む小腸部分切除術を行った.病理組織学的検査所見ではCD34(+),CD99(+),c-kit(-),Ki-67 index 10~15%であり,小腸間膜原発SFTと診断した.
術後経過は良好であり,術後10日目に退院となった.術後31カ月現在,再発所見は認めていない.

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