日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前に腸重積を整復し単孔式腹腔鏡手術を行ったPeutz-Jeghers型ポリープの1例
井口 健太渡邉 純本間 祐樹茂垣 雅俊舛井 秀宣長堀 薫
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2014 年 75 巻 8 号 p. 2214-2218

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抄録

成人腸重積症は小児期に比較し稀である.治療として手術が必要となることも多く,近年の腹腔鏡手術の発展により,腹腔鏡手術が積極的に取り入れられている.症例は45歳女性,腹痛を主訴に来院した.検査の結果,腸炎の診断となり外来通院していたが腹痛は改善せず,通院中に腹部造影CTを撮影したところ,回腸が上行結腸へ重積しており,先進部に回腸腫瘍を認めた.入院後,内視鏡にて腸重積を整復し待機手術の方針としたが,手術前日に再度重積し高圧浣腸にて整復した.翌日,単孔式腹腔鏡下回腸部分切除術を施行し,術後7日目に退院となった.病理組織学的診断はPeutz-Jeghers型ポリープであり,家族歴や色素沈着などを認めず,不完全型Peutz-Jeghers症候群と診断した.整復後に待機的に手術を施行したことで,低侵襲で整容的にも優れる単孔式腹腔鏡手術を行うことが可能であった.

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