日本臨床外科学会雑誌
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症例
後腹膜転移により十二指腸狭窄をきたした乳腺浸潤性小葉癌の1例
門馬 浩行三成 善光百留 美樹板倉 正幸田島 義証杉山 章
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2014 年 75 巻 9 号 p. 2424-2428

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抄録

後腹膜転移により十二指腸狭窄をきたした乳腺浸潤性小葉癌の1例を経験した.症例は66歳の女性.主訴は腹部膨満,嘔吐.2004年8月,原発不明癌多発骨転移を指摘され放射線治療を受ける.2008年5月,乳房の再検索で乳腺浸潤性小葉癌と診断され,UFT・AIを内服中であった.2008年9月頃より,腹部膨満と嘔吐を認めるようになった.十二指腸水平脚に狭窄を認めたが,同部位に明らかな占拠性病変は指摘できなかった.同時に両側の水腎症を認めた.内視鏡で十二指腸水平脚に約5cmにわたる狭窄を認めたが,粘膜面は正常であった.胃空腸バイパス術を施行し,同時に行った十二指腸周囲後腹膜の生検結果は浸潤性小葉癌であった.
乳癌の後腹膜転移は剖検例ではしばしば認められるが,臨床的に問題となる消化器狭窄が生前に診断されることは極めて稀である.乳腺浸潤性小葉癌は後腹膜転移を含めて特殊な転移を示すことを念頭に置く必要がある.

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