日本臨床外科学会雑誌
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症例
特発性横隔膜破裂の1例
増田 隆洋矢野 文章秋元 俊亮坪井 一人小村 伸朗矢永 勝彦
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2014 年 75 巻 9 号 p. 2457-2461

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抄録

症例は24歳,男性.2012年10月初旬,自転車運転中に突然左胸痛が出現し,近医を受診した.胸部単純X線検査にて左横隔膜の挙上を認め,精査加療目的にて同日入院となった.胸腹部CTにて左横隔膜と胃の挙上を認め,横隔膜弛緩症の診断にて胸腔鏡下に修復術を試みられたが,胃・大網・横行結腸・脾が左胸腔内に脱出しており,特発性横隔膜破裂と診断された.胸腔鏡下での修復は困難と判断され,観察のみで手術を終了した.2012年10月下旬,手術目的で当院紹介となった.手術は腹腔鏡を用いて行った.腹腔内を検索すると,食道裂孔の左側に約8cm大の横隔膜の欠損を認め,同部位から胃・大網・横行結腸・空腸・脾が左胸腔内に脱出していた.脱出していた臓器を腹腔内に誘導し,欠損していた横隔膜を縫合閉鎖した.術後は問題なく経過し,術後第4病日に退院した.横隔膜破裂の原因はほとんどが外傷であり,特発性は非常に稀であるため報告した.

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© 2014 日本臨床外科学会
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