2014 年 75 巻 9 号 p. 2499-2503
症例は86歳の女性で,85歳時に神経因性膀胱による膀胱破裂に対し当科で破裂部の縫合術を施行し,術後は経尿道的な膀胱内バルーンカテーテルの留置による減圧治療で経過観察中であった.
経過観察中に尿に便が混じるようになったため,泌尿器科から外科紹介となった.注腸造影で膀胱とS状結腸内に存在する膀胱内留置バルーンカテーテルが造影されたことでカテーテルによる膀胱結腸瘻と診断された.手術は瘻孔部S状結腸部分切除と,膀胱部瘻孔の縫合閉鎖を行い,今後の管理に配慮し,腹壁正中に膀胱外瘻を作成した.術後経過良好で軽快退院した.
膀胱内バルーンカテーテルの長期留置が原因で膀胱S状結腸瘻を形成した報告はまれであるが,長期の膀胱内バルーンカテーテルの留置は自験例のような合併症を起こしうることを泌尿器科医・外科医は十分認識し,カテーテルの選択・間欠的導尿なども考慮すべきであると思われた.