日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
腫瘍破裂により緊急手術を施行した膵未分化癌の1例
澤崎 翔森永 聡一郎五代 天偉沼田 幸司鷲見 公太益田 宗孝赤池 信
著者情報
キーワード: 膵腫瘍, 膵未分化癌, 破裂
ジャーナル フリー

2014 年 75 巻 9 号 p. 2559-2563

詳細
抄録

膵腫瘍は症状が出にくく,早期発見は困難だが破裂することはまれである.今回,われわれは腫瘍破裂により緊急手術を施行した膵未分化癌の1例を経験したので報告する.症例は66歳の男性.上腹部の腹満感および背部痛があり,腹部CTで膵尾部に9cm大の腫瘍を認めた.膵GISTの疑いで手術予定となったが,就寝中に激しい左上腹部痛が出現し緊急受診.左上腹部に限局した圧痛があり,CTで肝表面,Morrison窩,Douglas窩に液体貯留を認めた.腫瘍破裂に伴う腹腔内出血の診断で緊急手術を施行し,膵尾部腫瘍の破裂と破裂部からの出血を確認した.腫瘍は小腸および横行結腸に浸潤しており膵体尾部脾合併切除,小腸・横行結腸合併切除,D2リンパ節郭清を行った.Grade B(ISGPF)の膵液瘻を認めたが術後27日目に軽快退院となった.S-1内服による補助化学療法を半年間行い,術後1年無再発生存中である.

著者関連情報
© 2014 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top