日本臨床外科学会雑誌
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症例
上部消化管内視鏡で治療した胃切除後の魚骨による腹膜炎の1例
竹原 寛樹田邊 和照藤國 宣明徳本 憲昭大段 秀樹
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2014 年 75 巻 9 号 p. 2574-2579

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抄録

症例は74歳の胃切除後の男性.上腹部痛と腹部手術痕周囲の発赤を主訴に来院した.腹部所見は上腹部に圧痛,反跳痛を認め限局性腹膜炎の所見であった.腹部X線検査では明らかなfree airを認めなかったが,腹部CTで腹壁直下の挙上空腸付近の脂肪織濃度上昇と,約20mmの高濃度の線状異物陰影を認めた.問診からメバルを摂取したことが判明し,魚骨の空腸穿通による限局性腹膜炎と診断し緊急上部消化管内視鏡検査を施行した.挙上空腸のY脚吻合部より約15cm肛門側に魚骨を認めたため摘除した.今回,1983年から2013年までの30年間の胃切除後の魚骨による穿孔・穿通例16例を検討した.本症例以外では手術治療が選択されているが,われわれは内視鏡的摘除により保存的加療が可能であった.

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© 2014 日本臨床外科学会
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