日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下に修復した大腿ヘルニア虫垂嵌頓の1例
齋藤 敬弘大谷 聡佐藤 佳宏土屋 貴男伊東 藤男三浦 純一
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2014 年 75 巻 9 号 p. 2606-2612

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抄録

大腿ヘルニアは,しばしば嵌頓を起こすが,虫垂嵌頓は極めて稀である.大腿ヘルニア虫垂嵌頓を術前に診断し,腹腔鏡下に虫垂切除および大腿へルニア修復術を施行した1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
症例は77歳の女性.右大腿部の膨隆,痛みを主訴に来院.CTにて右大腿輪を通る腫瘤を認めた.冠状断にて索状物が盲腸から鼠径部の腫瘤へ連続していた.右大腿ヘルニア虫垂嵌頓と診断し手術を施行した.
腹腔鏡にて右大腿輪へ虫垂嵌頓を確認した.腹膜外アプローチにて大腿輪へ到達.裂孔靱帯を切開し,ヘルニア嚢周囲を剥離し虫垂嵌頓を解除した.その際,発赤した虫垂が腹膜外腔に露出した.感染を危惧し,Mesh修復を見合わせ,大腿輪縫縮に留めた.次いで,腹腔鏡下に虫垂を切除した.
4カ月後,二期的に腹腔鏡下大腿ヘルニア修復術を施行した.腹膜前腔を剥離しMeshを挿入した.術後の経過は良好であった.

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© 2014 日本臨床外科学会
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