日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
胃GISTに対する経腟的標本摘出を用いた腹腔鏡内視鏡合同胃切除術の経験
室谷 研富沢 直樹安東 立正竹吉 泉
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2015 年 76 巻 1 号 p. 10-15

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抄録

腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除(LECS)と標本の経腟摘出(TVSE)で小開腹を省略し,完全腹腔鏡下手術を施行した胃GISTを2例経験したので報告する.症例は63歳と53歳の女性.LECS;大網を胃から切離し,腫瘍を確認した.経口内視鏡で腫瘍からmarginをとり切離予定ラインの一部を切開し穿孔させた.穿孔部から腫瘍のmarginを確認しながら,超音波凝固切開装置で腫瘍を切除した.また,胃切除中はEndo-catch®を背側に留置し,術中の腫瘍の播種を予防した.TVSE;経腟経路の作成は,婦人科用クスコで膣前壁を腹側へ挙上しながら後膣円蓋部を腹腔内から切開した.膣切開部から切除標本をバッグに入れたまま経腟的に体外へ摘出し,膣創は直視下に縫合閉鎖した.胃の切除部は鏡視下に縫合閉鎖した.術後経過は2例とも良好で合併症なく退院した.術後創痛は軽微で,術翌日より積極的に離床を進めることが可能であった.

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