日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
経皮経肝胆道内瘻化術を施行した肝切除後離断型胆汁瘻の1例
加藤 厚清水 宏明大塚 将之高屋敷 吏久保木 知宮崎 勝
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 76 巻 10 号 p. 2499-2504

詳細
抄録

症例は26歳,女性.肝内側区域を占拠する肝腫瘍に対して左肝切除,胆管切除,胆管空腸吻合術を施行した.病理所見では肝原発内分泌腫瘍であった.術後,胆管空腸吻合部に留置したドレーンから胆汁様の排液を認め,ドレーン造影でsegment 5の胆管枝が描出され,腸管との交通のない離断型胆汁瘻の診断となった.離断胆管領域の肝容積が大きく再手術による吻合は,侵襲が高度で炎症や癒着により困難であることから,経皮経肝胆道ドレナージを施行後,このルートから透視下に挙上空腸を穿刺貫通させて離断された胆管と挙上空腸の内瘻化に成功した.離断胆管による胆汁瘻に対しては,胆管空腸吻合などの外科手術や無水エタノールによるbiliary ablationなどによる治療が報告されているが,低侵襲で離断胆管領域の肝実質機能を温存することが可能な経皮経肝胆道内瘻化術は,離断型胆汁瘻に対する有用な治療法の一つと考えられた.

著者関連情報
© 2015 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top