日本臨床外科学会雑誌
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症例
大網原発myxofibrosarcomaの1例
竹内 昭博山出 尚久桐山 茂久北谷 純也宮本 篤嶋 廣一
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キーワード: 粘液線維肉腫, 大網, 再発
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2015 年 76 巻 10 号 p. 2566-2572

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抄録

症例は61歳,女性.腹部腫瘤を自覚され,近医より当科紹介となった.造影CTでは胃背側に造影効果に乏しい10×10cmの巨大な嚢胞性腫瘤を認めた.MRIや腹部血管造影検査などでも確定診断には至らず,診断的治療を兼ねて手術を行った.腫瘍は網嚢内に存在し,唯一連続していた大網とともに摘出した.病理組織学的検査にて大網原発の粘液線維肉腫(myxofibrosarcoma:MFS)と診断された.術後11カ月目に術前とほぼ同じ部位に再発を認め,再手術を行った.腫瘍は胃後壁・膵体尾部・横行結腸間膜と周囲臓器に広範囲に浸潤を認めたが,胃全摘,拡大右半結腸切除,膵体尾部・脾切除,胆嚢摘出術を行うことで一括に切除できた.しかし,再手術後3カ月目に肝表面に播種と思われる腫瘍を認め,化学療法を行ったが初回手術から2年1カ月後に原病死した.今回,MFSという非常に稀な症例を経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する.

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© 2015 日本臨床外科学会
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