日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した馬蹄腎並存S状結腸癌の1例
鳥谷 建一郎渡辺 一輝奈良 智之野家 環古嶋 薫針原 康
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キーワード: S状結腸癌, 馬蹄腎
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2015 年 76 巻 11 号 p. 2760-2763

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抄録

症例は75歳,女性.食欲低下と嘔気の精査で下部内視鏡検査を施行したところ,S状結腸に半周性の周堤を有する2型病変を認め,S状結腸癌と診断した.術前3Dimension-CT angiography(以下3D-CTA)で馬蹄腎があり,左総腸骨動脈から左腎,右総腸骨動脈から右腎,大動脈の下腸間膜動脈の分岐部3cm下から腎峡部の3本の過剰腎動脈を認めた.大腸癌 S,Circ,2型,cT3(SS),cN0,cH0,cP0,cM0,cStage IIの術前診断で,腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.手術前の血管撮影像を参考にすることで安全に手術が可能であった.術中の誤認を防ぐためには術前に3D-CTAを施行し,これら過剰腎動脈と下腸間膜動脈,腎臓の正確な位置関係を把握する必要がある.

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© 2015 日本臨床外科学会
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