2015 年 76 巻 11 号 p. 2794-2799
症例は61歳,男性.急性閉塞性化膿性胆管炎の診断で緊急入院となり,内視鏡的ドレナージ不成功であったため経皮経肝胆道ドレナージを施行した.胆道造影では遠位胆管狭窄を認め,胆汁細胞診が陽性であったことから遠位胆管癌を疑い,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的には胆管狭窄の原因は胆管上皮過形成によるものであったが,その一部に上皮内癌の所見を認めた.胆管における上皮過形成の癌化については,本邦ではこれまでにほとんど報告がなかった.本症例は,胆管上皮過形成から胆管癌が発生するプロセスを示唆する貴重な症例と考えられる.