日本臨床外科学会雑誌
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症例
膵管内乳頭状粘液性腺癌破裂による腹膜炎の1例
小林 祐太竹村 信行河合 隆治隈本 力三木 健司
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2015 年 76 巻 11 号 p. 2800-2805

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抄録

患者は87歳,男性.8年前のCTで膵体部前面に分枝型IPMN(intraductal papillary mucinous neoplasm)と思われる2cm大の嚢胞性病変を認めていた.今回,突然の上腹部痛を発症し,著明な白血球・CRPの上昇を認めた.造影CTで膵体部前面に多房性の嚢胞と,嚢胞周囲の脂肪織の混濁および腹水の貯留を認めたため,IPMNの破裂による腹膜炎と診断し緊急手術を行った.開腹所見では,腹腔内に混濁した腹水が存在し網嚢内に膿汁が充満していた.さらに,網嚢とつながる膵体部に径3cmの嚢胞性病変を認めた.腹腔内の洗浄ドレナージと膵体尾部切除術を施行した.病理組織診は非浸潤性のIPMC(intraductal papillary mucinous carcinoma)であった.
IPMNの破裂は稀な病態であり,若干の文献的考察を加えて報告する.

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