2015 年 76 巻 12 号 p. 2892-2897
慢性関節リウマチ(以下RA)によるメソトレキセート関連リンパ増殖性疾患の自然退縮は知られている.今回methotrexate(以下MTX)中止後,病変の組織学的変化を画像にて捉えられた症例について報告する.
RA治療中の63歳の女性.10年間内服したMTX中止後に造影CTを施行し,両側乳腺病変および数個の皮下腫瘤を指摘.超音波で全病変が後方エコーを伴う低エコー,一部極低エコーを呈し,悪性リンパ腫を疑った.両側乳腺病変のelastographyはelasticity score 2であった.細胞診は,免疫染色にてび漫性大型B細胞リンパ腫と診断.その後,皮下腫瘤は消失,両側乳房病変は縮小した.乳房造影MRIは両側共遅延性濃染,拡散制限は認めず,超音波ではいずれも縮小しelastographyではelasticity score 3であった.乳房の針生検では間質の線維性変化を認め,大型異型リンパ球は認めなかった.