日本臨床外科学会雑誌
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症例
長期生存している成人胃Burkittリンパ腫の1例
楢原 克典安倍 知見勝又 健次知念 克也粕谷 和彦土田 明彦
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キーワード: Burkittリンパ腫, , 腸重積
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2015 年 76 巻 12 号 p. 2957-2964

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抄録

症例は35歳,男性.摂食時の違和感を主訴に来院.上部消化管内視鏡検査で周堤を伴わない潰瘍を認め,生検で腫瘍細胞は認めなかった.CTで12cm大腫瘍を認め,確定診断のため超音波下生検を実施した.腫瘍増大による圧迫症状と小腸腸重積を認め,緊急手術となった.原発巣を切除できず腸重積部小腸を摘出し小腸瘻造設術を行った.悪性リンパ腫の診断のもと,術後3日目からR-CHOP化学療法を実施した.発熱性好中球減少症を認め,以後20%減量で6コース行い腹部CTで腫瘍は消失した.発症から4年経過し完全寛解状態で通院中である.成人胃Burkittリンパ腫症例は本邦で学会抄録も含めて21例報告されているが,1年以上の生存報告は4例と予後不良である.悪性リンパ腫は早期化学療法が推奨されるが,腫瘍崩壊症候群・穿孔・腸重積も多く手術を優先することもある.本症例は確定診断前に緊急手術となったが,術後早期から化学療法を行い,長期生存が得られたと考えられた.

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© 2015 日本臨床外科学会
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