日本臨床外科学会雑誌
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症例
肝細胞癌胃転移の1例
横山 真也上松 俊夫鈴木 秀昭大西 桜
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2015 年 76 巻 12 号 p. 2977-2983

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抄録

症例は76歳,男性.2年前に肝S2の肝細胞癌に対し肝外側区域切除術を施行された.7カ月前からの食後の逆流症状を訴えたため,上部消化管内視鏡検査を施行した.胃前庭部に5mm大の隆起性病変を認め,生検ではgroup3,adenomaであった.4カ月後,腹部造影CT検査で胃前庭部の壁肥厚を認めた.内視鏡検査では胃前庭部の隆起性病変は増大していたが,粘膜は保たれているように見えた.生検では低悪性度の腫瘍と診断された.胃癌を疑い,2013年8月にリンパ節郭清を伴う幽門側胃切除術を施行した.病理組織学的検査で中分化型肝細胞癌の胃転移と診断された.胃切除後2年の現在,無再発生存中である.
肝細胞癌胃転移のほとんどは超進行癌である.しかし,自験例のように門脈逆行性と考えられ,AFP値が低値の肝細胞癌胃転移では,胃切除で長期生存が期待できる症例も存在すると思われる.

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