2015 年 76 巻 12 号 p. 2984-2988
症例は44歳,男性.腹痛,嘔吐を主訴に当院を受診.末梢血で好酸球が16,700/mm3と増加し,下部消化管の生検で好酸球を主体とする炎症細胞浸潤を認め,好酸球性胃腸炎の診断でステロイドの内服を開始した.治療開始後,症状が軽快したためステロイドを減量したが,症状の再燃を認め入院となった.第20病日に強い腹痛を訴え,腹部CT検査で腹水・腹腔内遊離ガスを認めたため,小腸穿孔の診断で緊急手術を施行した.回盲弁から約30cmの口側回腸に穿孔部を認め,小腸部分切除術を施行した.病理組織学的に穿孔部周囲に好酸球を主体とする炎症細胞浸潤を認め,好酸球性胃腸炎に伴う小腸穿孔と診断した.術後1年現在,外来経過観察を行っており,再発は認めていない.
好酸球性胃腸炎は再燃しやすく,時に消化管穿孔をきたすこともあるため,適切な維持療法が重要である.