日本臨床外科学会雑誌
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症例
術中3箇所の出血部位を認めた特発性血気胸の1例
石本 真一郎高橋 伸政池谷 朋彦村井 克己星 永進
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2015 年 76 巻 2 号 p. 264-267

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抄録

症例は34歳,男性.草野球の練習中に胸痛が出現し前医受診.胸部X線検査で左肺の虚脱と胸水貯留あり,胸腔ドレナージを施行された.その後,血性の排液が続くために手術療法が考慮され同日当院へ搬送された.搬送後,左血気胸の診断で胸腔鏡下で緊急手術を施行した.血腫を除去すると,胸腔頂部に断裂した2箇所の索状物を認め,そこから出血を認めたため焼灼止血した.その後も肺尖部近傍に血液が貯まるためよく検索すると,上肋間静脈近傍に1箇所癒着が剥がれた痕があり出血を認めたため,凝固止血した.以上の計3箇所から出血を認めた.特発性血気胸と診断した.術後経過は良好であり,無輸血で術後第3病日に退院した.特発性血気胸に対しては早期の手術を考慮すべきであり,出血部位に関しては胸腔内を隈無く検索することが重要である.

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