日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡補助下切除を施行した腸回転異常症を伴う盲腸癌の1例
森岡 伸浩沢津橋 孝拓清水 孝王中塚 英樹
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2015 年 76 巻 2 号 p. 313-317

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抄録

症例は65歳,男性.腸閉塞の精査にて盲腸に進行癌を認めた.イレウス管造影では回盲部に全周性の狭窄を認め,小腸が腹腔内右側に偏位していた.大腸内視鏡検査を施行し,大腸癌の診断となった.腹部造影CT検査でSMV rotation signを認めた.3D-CT angiographyで回結腸動脈は,上腸間膜動脈の左側から分岐し,上腸間膜静脈の腹側を走行していた.腸回転異常症を伴った大腸癌と診断し,腹腔鏡補助下結腸切除術を施行した.郭清は回結腸動脈を根部で切離しD3郭清を行った.腸回転異常を伴う大腸癌に対して腹腔鏡下手術を行う場合は,3D-CT angiographyなどの画像技術を駆使した術前評価で,解剖学的異常,腫瘍の位置と血管走行を十分に把握しておくことが重要である.

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© 2015 日本臨床外科学会
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