日本臨床外科学会雑誌
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症例
膵切除術後12年で発症した劇症型Clostridium perfringens肝膿瘍の1例
春木 孝一郎三澤 健之柴 浩明飯田 智憲石田 祐一矢永 勝彦
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2015 年 76 巻 2 号 p. 361-364

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抄録

症例は84歳,女性.12年前に胆管癌に対し膵頭十二指腸切除後,無再発で外来通院中であった.悪寒,発熱を主訴に救急外来受診.肝S5にガスを伴う膿瘍を認めた.入院後腹痛出現し,造影CTでは肝膿瘍の急速な増大を認め,炎症反応の増悪,溶血の進行を認めた.ガス産生菌による肝膿瘍,敗血症による溶血と診断し,抗菌薬投与開始したが,反応乏しく経皮経肝膿瘍ドレナージ施行.内容のグラム染色でClostridium perfringens (以下,C. perfringns)感染症が疑われた.ドレナージ後も溶血および多臓器不全が進行し,来院後20時間で死亡した.後日,血液およびドレナージ穿刺液培養よりC. perfringnsが同定された.今回,膵頭十二指腸切除から12年後にC. perfringensによるガス産生性肝膿瘍により急激な経過で死亡した1例を経験したので報告する.

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© 2015 日本臨床外科学会
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