日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下に切除した上腸間膜動脈神経叢に発生した神経鞘腫の1例
横山 達郎磯谷 正敏金岡 祐次前田 敦行高山 祐一深見 保之
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2015 年 76 巻 2 号 p. 408-412

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抄録

症例は49歳,女性.健診で異常を指摘され精査目的で当院を受診した.腹部造影CTで上腸間膜動脈(SMA)の右腹側に境界明瞭で造影効果を伴わない20×20mmの腫瘤を認めた.EUS-FNA検査ではわずかに末梢神経様の間質が認められた.MRI検査ではT1強調で低信号,T2強調で高信号,dynamic studyでは辺縁が早期に濃染し,後期相にかけて腫瘤が明瞭化した.以上の所見より後腹膜原発の神経鞘腫を第一に考え,腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.術中所見では,腫瘍は脾静脈と下腸間膜静脈に接しており,SMA神経叢と連続していた.病理所見では,c-kit・CD34・α-SMAの免疫染色では染まらず,S-100蛋白で染まる紡錘形細胞の核や細胞質を認め,神経鞘腫と診断した.SMA神経叢に発生する神経鞘腫を腹腔鏡下に摘出しえたので報告する.

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