日本臨床外科学会雑誌
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症例
回盲部腸重積で発症したBurkittリンパ腫の1例
川越 勝也濵崎 景子稲村 幸雄福岡 秀敏角田 順久石川 啓岩崎 啓介
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2015 年 76 巻 3 号 p. 539-544

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抄録

症例は17歳の男性で,右下腹部痛を主訴に近医を受診し,抗生剤で加療されるも症状の改善なく,第2病日に当科に転院となった.腹部造影CT検査で回盲部にtarget signを認め,腸重積と診断した.入院後も症状の改善なく第3病日に手術を施行した.術中所見では回盲部の腫瘤性病変を先進部として横行結腸に重積していた.術中迅速病理診断では,悪性リンパ腫の所見であり,回盲部切除術のみを施行した.術後病理学的検査でBurkittリンパ腫が疑われ,染色体検査を施行し8番遺伝子の転座で確定診断を得た.CODOX-M/IVAC療法を施行し,寛解が得られた.
本疾患は予後不良な疾患であったが,近年の化学療法の改良により寛解が望める疾患となりつつある.腸重積で発症する場合には,病理学的な診断が得られる前に緊急手術となることが多い.術中迅速病理診断を行うことで早期より他科との協力が可能となり,治療介入も早期に行える.

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