2015 年 76 巻 3 号 p. 577-582
症例は58歳の男性で,7年前にS状結腸癌に対しS状結腸切除術を施行し,tub2,SS,N0,M0,Stage IIと診断された.フォロー中に施行した腹部造影CTで肝S6/7に造影効果の乏しい14mm大の腫瘤を指摘された.転移性肝腫瘍が疑われたため,腹腔鏡下肝S6/7部分切除術を施行した.病理組織学的検査では腫瘍は中分化型腺癌であり,免疫組織学的検査の結果からS状結腸癌の肝転移と診断された.大腸癌術後の再発はそのほとんどが5年以内に出現し,ガイドラインにおいてもサーベイランス期間の目安とされている1).当科における大腸癌切除症例の検討では,術後5年目以降に再発を認めた症例は全体の0.56%とまれであった.原発の進行度によらず5年以降の再発は報告されており,再発病変を切除可能であった症例の予後は比較的良好であった.50歳台以下で発症した大腸癌罹患者は60歳台以降発症例と比較し晩期再発が多い傾向を認めた.