2015 年 76 巻 4 号 p. 901-905
症例は23歳,女性.突然の下腹部痛を自覚し,近医を受診した.翌日,症状が増悪したため,急性虫垂炎の診断で当院へ紹介受診した.
腹部造影CTでは骨盤内に造影効果に乏しい11cm大の表面平滑,内部均一,境界明瞭な腫瘤を認め,腹部エコーでは,腫瘤は境界明瞭で内部は充実性であった.以上より腹腔内腫瘤の精査,加療目的に緊急入院した.翌日,腹部所見が増悪したため,緊急開腹手術を施行した.開腹したところ,骨盤内に暗青色のうっ血した腫瘤を認め,頭側から腫瘤に繋がる血管が捻転していた.捻転した血管を結紮切離し腫瘤を摘出した.摘出した腫瘤は14×11cmで割面は赤色で脾組織と思われた.本来の脾臓は左横隔膜下に存在していることより,副脾茎捻転と診断した.
病理学的所見では疎らに白色脾髄と考えられる,脾臓構造を持ち,高度に鬱血を認めた.悪性所見は認めなかった.
副脾茎捻転は稀な症例であり,若干の文献的考察を加えて報告する.