2015 年 76 巻 5 号 p. 1075-1077
症例は69歳,男性.1998年,直腸癌に対して腹会陰式直腸切断術を施行し,S状結腸ストマを造設された.以降,ストマより毎朝洗腸を施行してきた.2013年1月,洗腸処置後より腹痛が出現し,徐々に増悪したため救急要請した.来院時,腹部CT検査にてS状結腸ストマ周囲に膿瘍およびfree airを認め,ストマ穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した.人工肛門より約10cm口側の腸管に穿孔を認め,周囲に膿瘍を形成していた.穿孔部位を含めたS状結腸ストマを切除し,その口側で人工肛門再造設術を施行した.術後麻痺性イレウスが遷延したが,術後27日目に軽快退院した.また,再度現病歴を問診したところ,数日前より洗腸後の排便量が少なく,術当日朝は洗腸後に排便を認めなかったため,摘便目的でS状結腸ストマ内に割り箸を挿入したことが判明した.