日本臨床外科学会雑誌
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症例
直腸癌が併存した肝原発悪性リンパ腫の1例
南 貴之平松 和洋夏目 誠治加藤 岳人柴田 佳久吉原 基
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2015 年 76 巻 5 号 p. 1130-1136

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抄録

症例は65歳の男性で,便潜血反応陽性のため大腸内視鏡検査を行ったところ直腸癌を認め,当院へ紹介となった.腹部造影CTで肝S1に15mm,S4に12mm,S6に17mmの乏血性腫瘤を認めた.腹部MRI検査を行い,T1強調画像で低信号,T2強調画像で淡い高信号,EOB-MRIの肝細胞相で低信号を示した.直腸癌および同時性多発肝転移の診断で術前化学療法を行った.投与終了後の効果判定ではRECISTにより原発巣はPR,肝転移巣はSDであった.肝拡大左葉切除術,尾状葉部分切除術,肝S6部分切除術,低位前方切除術D3郭清を行った.病理組織学的所見は直腸のadenocarcinoma in tubulo-villous adenomaでリンパ節転移は認めなかった.肝は濾胞性リンパ腫と診断した.肝原発悪性リンパ腫は稀な疾患であり,その術前診断は容易ではなく,他臓器癌と合併した場合は肝転移との鑑別が重要である.

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