日本臨床外科学会雑誌
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症例
超音波内視鏡下に胃との内瘻術を行った術後膵瘻の1例
井上 立崇仲程 純岩井 輝沢津橋 孝拓寺谷 直樹有井 滋樹
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2015 年 76 巻 5 号 p. 1182-1186

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抄録

胃から膵瘻管に内視鏡的にステントを挿入して,術後の難治性膵瘻の治癒を得た1例を報告する.症例は65歳の男性.膵癌に対し膵頭十二指腸切除術(Child変法,膵管空腸全層縫合+膵貫通空腸漿膜筋層縫合)を施行した.術後膵瘻が生じ,腹膜刺激症状が顕著になったため術後8日目に再開腹し,洗浄ドレナージ術を行った.全身状態は安定したが,オクトレオチドを投与するもドレーンから高アミラーゼ排液(約10万IU/L,600 ml/日)が続き,一方,腸液アミラーゼが低値のため,膵空腸吻合の閉塞に伴う難治性膵瘻と判断した.まず,内視鏡的に膵管空腸吻合部にステント留置を試みたが,挙上空腸の屈曲部を通過できず断念した.そこで,術後44日目に超音波内視鏡ガイド下に胃から瘻管にメタリックステントを留置した.内瘻化後27日目に退院できた.胃-膵瘻間の内視鏡下ステント留置の報告はほとんどないが有用な治療法と考え報告する.

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© 2015 日本臨床外科学会
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