日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
臨床経験
Kugel法手術を行った鼠径部ヘルニア2,363例の経験
小田 斉
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 76 巻 6 号 p. 1277-1282

詳細
抄録

Kugel法は鼠径部切開創から腹膜前腔に形状記憶メッシュを挿入する腹膜前腔到達法で,2003年1月から2014年12月までに鼠径部ヘルニア2,363例,2,594病変に同法を施行した.手術時間は23±13分(中央値20分)で,初発例2,461病変では22±11分,再発例133病変では41±29分と後者で有意に手術時間が延長した(p<0.001).Kugel法の再発は20例(0.8%)で,合併症は膀胱損傷5例,術中出血1例,術後腸閉塞1例,メッシュ感染1例,慢性疼痛1例であった.膀胱損傷5例のうち4例と術後腸閉塞は腹膜前腔メッシュ修復後再発例に合併した.Kugel法は腹膜前腔の形状記憶メッシュですべての筋恥骨孔を閉鎖でき,初発例と従来法後再発例,Lichtenstein法後再発例には有効であるが,腹膜前腔メッシュ修復後再発例や前立腺癌術後は腹膜前腔癒着による合併症の危険があり適応外とすべきである.

著者関連情報
© 2015 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top