2015 年 76 巻 7 号 p. 1622-1627
症例は40歳の男性で1日40本,22年の喫煙歴がある.毎年,増大傾向の右肺上葉のブラを指摘されていたが無症状のため経過観察となっていた.胸部CTでブラは右肺上葉をほぼ占拠し,中下葉を圧排しながら胸腔の1/2以上を占めていた.1週間持続する右胸痛で受診,精査にて右自然気胸発症と診断し,翌日,右肺上葉切除を施行した.術後,再膨張性肺水腫,肺瘻の遷延,また残存中下葉の拡張不全を認めたが,呼吸機能は改善した.巨大ブラに対する明確な手術適応基準がないため,無症状の場合経過観察となることが多い.本症例は自然気胸を契機に手術となったが,結果的にブラ巨大化は進行し,肺切除量は広範囲となり術後経過にも影響したと考えられる.定期的な精査と呼吸機能評価を行い,適切な時期に外科的治療を行うことが必要である.