日本臨床外科学会雑誌
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症例
鼠径ヘルニア嵌頓から発生した壊死性筋膜炎の1例
水田 憲利中谷 研介岡田 晋一郎菅沼 利行
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2015 年 76 巻 7 号 p. 1787-1791

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抄録

壊死性筋膜炎は,壊死性軟部組織感染症の一種であり,進行すると致死的な経過を辿る.症例は79歳,女性.1週間前からの食欲不振を主訴に救急搬送.右鼠径部に皮膚壊死を伴う膨隆あり,CT所見と合わせ,鼠径ヘルニア嵌頓に伴うガス壊疽を疑い,緊急手術を施行した.術中所見では,小腸および大網が嵌頓,壊死しており,小腸は穿孔していた.また皮下組織,筋膜まで壊死が進行していたが,筋層まで達しておらず壊死性筋膜炎と診断した.緊急デブリードマン+ヘルニア修復術+空腸部分切除術を施行した.その後,創部壊死が拡大,術後第2・4病日に追加デブリードマンを施行したが効果なく,術後第6病日に永眠された.壊死性筋膜炎の致死的な経過を防ぐためには,発症早期に十分なデブリードマンを含めた集学的治療が必要と考える.

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© 2015 日本臨床外科学会
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