日本臨床外科学会雑誌
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症例
急性胃腸炎に併発した28歳特発性食道破裂の1例
中川 智彦村上 和重宮田 剛臼田 昌広井上 宰齋藤 之彦
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2015 年 76 巻 8 号 p. 1881-1884

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抄録

急性胃腸炎に併発した若年特発性食道破裂例を経験したので報告する.症例は28歳の男性で,急性胃腸炎に伴う下痢,嘔吐の直後から強い胸背部痛出現したため近医受診.精査加療目的に救急車にて当院搬送となった.来院時胸部X線写真で左下肺野に透過性低下,CT検査では左胸水,胸部下部食道周囲に縦隔気腫を認めた.また,上部消化管造影検査で胸部下部食道左側から左胸腔内への造影剤流出を認めたため,特発性食道破裂と診断した.そこで,発症10時間後に緊急手術となった.左第7肋間後側方開胸を行うと,胸部下部食道左側に5mm大の穿孔と胸腔内に食物残渣を認めた.炎症所見が軽度のため,穿孔部を2層に縫合閉鎖した.術後経過は良好で第10病日に経口摂取を開始し,第21病日に退院した.急性胃腸炎は日常よくある疾患だが,若年であっても特発性食道破裂をきたすことがあることは念頭に置くべきと考えられた.

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© 2015 日本臨床外科学会
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