2015 年 76 巻 8 号 p. 1918-1922
症例は66歳の男性で,腹痛・血便などを主訴に来院.腸管壊死を伴わない上腸間膜動脈血栓症と診断して保存的加療を試みたものの,第2病日に腹部症状が増悪したため緊急手術を施行し,壊死小腸約50cmを部分切除するとともにsecond-look operationの方針で断端は小腸瘻として腹壁外に挙上した.術後第12病日に小腸を約70cm追加切除し,小腸瘻を閉鎖した.再手術後,経口摂取に誘発される腹痛と下痢を繰り返し,CT・蛋白漏出シンチグラムなどの精査にて虚血性小腸炎に合併した蛋白漏出性胃腸症と診断した.3度目の手術では詳細な観察のため,腹腔鏡を使用し,前回吻合部の口側約50cmにわたる小腸腸管壁の肥厚を認めた.小腸大量切除を回避するためsecond-look operationを企図したが,蛋白漏出性胃腸症の合併から結果的に3度の手術と長期入院を要した1例を経験したので,考察とともに報告する.