日本臨床外科学会雑誌
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症例
S状結腸間膜由来悪性末梢神経鞘腫の1例
園田 寛道清水 智治太田 裕之遠藤 善裕石田 光明谷 眞至
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2015 年 76 巻 8 号 p. 1963-1968

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抄録

症例は67歳の女性で,残尿感と下腹部腫瘤を主訴にかかりつけ医を受診した.腹部超音波検査にて骨盤内腫瘤を認めたため,当科紹介受診となった.腹部造影CTにて骨盤内に径120mm大の辺縁平滑で内部は不均一に造影されるS状結腸間膜由来の腫瘍を認め,画像上脂肪肉腫と診断され,2011年6月に手術を施行した.開腹所見ではS状結腸間膜に結腸壁と連続する径15cm大の腫瘍を認めた.周囲臓器への浸潤は認めず,術式はS状結腸切除術とした.病理組織学的検査所見では,c-kit・desmin陰性の紡錘形細胞の増生を認め,一部にCD34・S-100陽性細胞が観察され,腸間膜由来の悪性神経鞘腫と診断された.悪性神経鞘腫は神経鞘に原発する悪性腫瘍であり,主に頭頸部や四肢の末鞘神経,脊髄内に発生する.腸間膜由来の悪性神経鞘腫は本邦では自験例を含めて過去5例の報告しかなく非常にまれであるので報告する.

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© 2015 日本臨床外科学会
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