日本臨床外科学会雑誌
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症例
門脈血栓症を合併した急性胆嚢炎の1例
石橋 至高田 厚藤代 雅巳河原 正樹
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キーワード: 急性胆嚢炎, 門脈血栓症
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2015 年 76 巻 8 号 p. 2021-2025

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抄録

症例は57歳,男性.右背部痛と発熱を主訴に当院を受診した.血液検査では炎症反応の上昇と肝胆道系酵素の上昇を認め,腹部CT検査にて急性胆嚢炎ならびに門脈血栓症と診断し,抗菌薬と抗凝固療法を行った.その後,症状検査所見は速やかに改善し,血栓の縮小も認めたため,発症から3カ月後に胆嚢摘出術を施行した.
門脈血栓症は比較的稀な疾患であり,その成因として悪性腫瘍,先天性凝固異常,炎症などが指摘されている.本症例は急性胆嚢炎がその原因と考えられたため,その治療は,血栓の原因となった胆道感染のコントロールが最も重要と考えられた.また,併せて血栓症の治療も行った.今回われわれは,門脈血栓症を合併した急性胆嚢炎の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2015 日本臨床外科学会
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