2015 年 76 巻 8 号 p. 2041-2046
症例は72歳,男性.閉塞性黄疸にて発症した膵頭部癌症例.画像診断にて総肝動脈が上腸間膜動脈から分岐するhepatomesenteric typeの血管亜型を認め,膵内を走行する変異総肝動脈への腫瘍浸潤が疑われた.術前化学療法の後,膵頭十二指腸切除・総肝動脈合併切除再建を施行した.肝動脈再建として,腹腔動脈分岐部から約3cm授動した脾動脈と,固有肝動脈とを端端吻合した.病理組織学的検査にて組織学的動脈浸潤は認められず,(pA0),pTS2 (2.2cm) pT3[CH(+)DU(+)S(+)RP(+)PV(-)A(-)PL(-)OO(-)] pN0 pStage III R0であった.肝動脈のpatencyは良好であったが,術後6カ月に肝転移が出現し,現在化学療法中である.