日本臨床外科学会雑誌
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症例
Corynebacterium tuberculostearicum感染による肉芽腫性乳腺炎の1例
金沢 亮田村 元渋谷 一陽永生 高広阿部 厚憲及能 健一野手 健司
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2015 年 76 巻 9 号 p. 2095-2099

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抄録

肉芽腫性乳腺炎は稀な良性疾患で乳癌として手術され病理学的検査の結果肉芽腫性乳腺炎と診断される報告が散見される.今回われわれは,Corynebacterium tuberculostearicum(以下C. tuberculostearicum)感染が原因と思われる肉芽腫性乳腺炎の1例を経験したため報告する.症例は50代の女性.左乳房の疼痛を伴うしこりを主訴に受診した.触診上左C領域に40mm大の弾性硬・可動性良好な腫瘤を認めた.MMG・US・MRI上,乳癌が強く疑われ針生検を施行した.組織学的所見は,好中球中心の炎症細胞浸潤を認めたが悪性細胞は認めなかった.肉芽腫性乳腺炎を疑い腫瘤内容物を穿刺し培養に提出,抗菌薬投与を実施し,培養結果はC. tuberculostearicumであった.投与後4週間で腫瘤径の縮小を認め,診断後8カ月経過するが増悪なく経過している.

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© 2015 日本臨床外科学会
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